誰もが可能性と不安をもつ、認知症をよく知ろう
『認知症の人と家族の会』 を訪ねて <2009年6月取材>
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「もも百歳」読者をはじめ、シニア世代の多くの方が「認知症」に対する不安をもっています。また、家族や知人で認知症と戦っている人、過去に介護を経験した人も少なくないでしょう。
以前は「痴呆、呆け」などと呼ばれてきました。有吉佐和子の小説「恍惚の人」が出版され、一大ブームを起こしたのは、1972年。それから40年近く、介護の環境も大きく変わりました。
設立30年の活動を続けている「認知症の人と家族の会」(旧:呆け老人をかかえる家族の会)の本部は京都にあります。全国44都道府県にも支部があり、認知症本人やその家族をサポートしています。その活動について取材に行ってまいりました。
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−− どのようなご相談が多いですか?
●40代〜50代の方から、その方の親御さんについてのご相談が最も多いですね。高齢の親が暮らす田舎から離れてしまい、不安も増すようです。
また、最近は、自分自身の認知症についての相談も増えてきました。最近では医師が本人に告知をします。「まさか、自分が」という驚きと、「いったいこれからどうなっていくのか」という不安は大変なものでしょう。
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−− 若年性アルツハイマーは増えているのですか?
●増えているというより、以前は水面下にあったものが、出てきているともいえるでしょう。今は、血流検査である程度詳しい状況がわかるようになりました。
若年性は18歳から64歳をさしますが、家族より先に会社などで異変に気付くことが多いようです。たとえば、パソコンに入力するいつものパスワードがどうしても出てこない、会議等の時間をしょっちゅう忘れるなどの状況です。
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−−もし不安がある場合はどうしたらいいでしょうか?
●できるだけ早く受診することですね。今は進行を遅らせる薬もあります。きちんと処方してもらうことでその後の生活レベルも異なってきます。また、家族や周りの人が認識することで、本人への適切な対処の仕方も異なります。これが生活の質を維持するのに非常に重要なことです。
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−− 会のサポートはどのような内容ですか?
●認知症に関する相談ダイヤルを行っています。どなたにでも利用していただけるので、ご自身や家族のことで心配があれば、ひとりで悩まないで相談してほしいですね。
また、会員には、会員同士の交流会、会報誌の発行、イベントなどの情報提供なども行っています。
体験者同士の意見交流は、とても参考になります。同じ体験をしている人ならではの工夫や励ましがあります。一人だけが悩んでいるわけではありません。同じ仲間を見つけることは大切です。
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社団法人 認知症の人と家族の会
京都市上京区堀川通丸太町下る 京都社会福祉会館2階
ULR http://www.alzheimer.or.jp/
★認知症の電話相談110番 0120−294−456
(平日:10時〜15時 フリーダイヤル)
※全国44都道府県にも支部があります
※入会手続き 個人会員年会費5千円
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この人を殺して自分も死のうと夫の首に手を持って行った時、夫の口から「おかあちゃん」。
その一言に我にかえり、手をゆるめ、ごめんね。
その日から、夫と病気につきあっていこうと決めました。
様々な体験者からのエピソードが紹介された『死なないで! 殺さないで!』パンフレットは、心を打たれる内容です。
介護をめぐる悲しい事件が、これ以上ないように、心から祈ります。 |
医師から認知症の告知をされ、これからの生活をどうしようかと悩む人も多くいます。
会では、本人同士の交流会も開催、不安を少しでもやわらげ、できるだけ今の生活を維持できるようにサポートしています。 |
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